Oct 24, 2011

Mystery Ranch




今年はP.G.I. と清里フォトアートミュージアムでの写真展、そして初の写真集出版が慌ただしく続いた。ようやく一段落したので、次回の撮影に向けて機材を運ぶバックパックを引きづり出してチェックした。

写真のバックパックは 2006年頃に購入した Mystery Ranch の「Kodiak」というモデル。7000 cu-inch で同社のインターナルフレームとしては最大のもの。
これ以前は Dana Design の「Astralplane Overkill」を使っていた。Dana Design のバックパックは「山を実際に歩いている人間がデザインして作った」と感じさせる、丈夫でシンプルで使い易いとても良い製品だった。Overkill モデルはパック全体が 1000デニールコーデュラナイロンで作られた超ヘビーデューティーモデルで、短期間だけ生産されていたように思う。それはアラスカのアウトドアショップで特注して購入したが、鋭い枝が突き出す低木や岩場が多いツンドラ地帯で使うには打ってつけだった。しかし、かなり酷使してヘタってきたのと、更にもっと大きな容量のパックが欲しかったので現在の Mystery Ranch のバックパックを購入したのだった。
極地での撮影では夏場でもブリザードに見舞われることがあるので、装備は四季を通じてあまり変わらない。大型カメラなどの撮影機材以外にも冬季用のシュラフやら色々なキャンプ道具を運ぶので、Lowepro などのカメラ専用のバックパックだと衝撃緩衝材が入っているので図体はデカくてかさ張るくせに、容量が少なくて私には使えない。
カメラバッグもそうだが、たったひとつの理想の形などなく、結局は各々が自分の撮影スタイルに合うように工夫しながら使うしかないようだ。

ほんとうは Dana Design のシンプルな構造のパックが理想だったのだが、気がついた時は同社は既に売却済で製品はベツモノ(もうブランド名さえ消滅したのでは?)。アメリカではノリに乗って来た時に会社を売っぱらうのは結構あること。90年代に一世を風靡した YETI CYCLES もそうだった。高嶺の花だったけど・・・。

Dana Design の創設者だった Dana Gleason が新たに立ち上げた Mystery Ranch には、何の疑いもなく飛びついた。確かに良いパックで、Dana Design のときに培った経験が生かされているのを感じる。しかし、パックの構造が複雑になり、夏場は砂埃、冬季は雪が至る所から入り込んだりするのは始末が悪い。
あと精神衛生上の問題だが、同社のバックパックはイラクに駐留する米軍部隊にも支給されているそうで、実践での経験がフィードバックされているが、使っていてなんだか複雑な気持ちになってくる。
まあカメラも、戦争とともに進化発展を遂げて来た工業製品ではあるのだが・・・。