「My Favourite Things・私のお気に入り」というと、やっぱりジョン・コルトレーン。一枚あげるとすれば、「Live A The Village Vanguard Again!」。
もう、遠いむかしのことだが、最初に聴いたときの衝撃は凄いもので、写真のことやら、表現・創作についての根底から大きく揺さぶられ、分野を超えて、力とか勇気を与えられたものだった。
この頃のコルトレーンのスタイルは、すでにフリー・ジャズだが、爆発力は凄まじいものがある。でも、最初に聴いたときの衝撃というのは、炸裂するようなパワーとかではなくて、「音」自体から受けたように思う。言霊という語があるが、いってみれば「音霊」とでもいうのだろうか?確かに、この時期のコルトレーンの音楽は宗教的な傾向を示しているし、当然、60年代という時代背景・社会背景も影響していると思う。そのためか、フリー・ジャズっていうことに加えて、彼のアルバムのなかでは、一般的には地味な存在かもしれない。
あまり楽しんだり、くつろいだりできなくても、何かをきっかけに波長が合うと凄いことになるアルバムというのが、ジャズ、ロック、クラシックでも何枚かある。こちらの気持ちが充実した状態でないと、音楽が身体に入ってこないのだ。このアルバムは、そんな典型の一枚なのだが、逆に自分にとっては、そのときその音楽にどれだけ呼応できるかで、精神状態や気持ちの充実度がわかるバロメーターみたいなものになっている。