Sep 20, 2026

『ツンドラの記憶 - エスキモーに伝わる古事』の「クヌークサユッカ」と「アヤグマヒャヒャ」について。

2024年に出した 『ツンドラの記憶 - エスキモーに伝わる古事』kanjindo.com/books/bk910149 この本に収録した話「クヌークサユッカ」と「アヤグマヒャヒャ」の語り部はサイモン・パニアック。彼はアラスカ北極圏内陸部のアナクトブク・パス村のリーダーで、1960年代に民族学者・岡正雄氏が調査で訪れた際の協力者であり良き友人でもあった。アナクトブク・パス村の背後にそびえる山は「マウント・オカ」と呼ばれ、二人の深い絆の象徴でもある。

 

アナクトブク・パス。英語表記で「Anaktuvuk Pass」。イニュピアック語の「Anaqtuuvak」が由来。その意味は…「雲古のある場所」!その「ウんコ」とは、つまりトナカイの糞のこと。彼らヌナミウトとトナカイの深い関わりが地名にも表れている。実際、村周辺のツンドラの地面をよくよく目を凝らして見ると、丸い黒豆のような糞が無数に落ちている。

 


  サイモン・パニアックの息子とトナカイを追った時の一枚。

Sep 10, 2026

大島育雄さんの思い出

 橇のランナーの手入れをする大島育雄さん。近くで若者も同じことをしていたら、歩み寄って教えていた。「シオラパルクに来たばかりで右も左も分からなかった頃、皆が色々と教えてくれた。今度は自分がその恩返しをする番なんだ」と笑って話していた。



昔は氷点下40度を下回るような極寒では摩擦が高まるので、滑りを良くするためにランナーに泥炭を盛ってから、その表面に水を塗布して氷のコーティングを施していた。デンマークの民族学者・探検家のクヌート・ラスムッセンは、長期遠征の際には泥炭の代替に水で溶いた小麦粉を使い、気温が上昇するとはがして犬のエサにしていた。カナダのイヌイットが泥炭をランナーに盛る様子が、第5次チューレ探検の記録映画のなかでも少しだけ紹介されている(16分48秒あたりから)。カナダ東部からアラスカまで、重い荷物を積んだ犬橇で3年間にわたり遠征調査したラスムッセンにとって、この手法無くして旅は続けられなかったと言っても過言でないほどで、著書のなかで幾度となくこの氷のコーティング(アイス・シューイング)について言及している。


シオラパルクの大島育雄さん 逝く

シオラパルクの大島育雄さん 誠実で、まっすぐで、歯に衣着せぬ物言い、そしてあの笑顔をずっと忘れません。ご冥福をお祈りいたします。